タコスセッション vol.02
開催概要
【日時】3/10(日) 17:00、19:30
3/11(月) 13:00、17:00、19:30
※各回一斉スタート
【料金】11,000円(税込)キャッシュレス決済のみ
【定員】各回8名(カウンター席のみ)
【場所】東京・神田、ソーシャルダイアローグキッチン「JITA」
東京都千代田区神田西福田町4-5
(https://maps.app.goo.gl/fSRSozcRZ76CJ1bu7)
メニュー(料理解説付き)
当日のメニュー小さなタコス
【左】かくま牧場の自家製生ハムと山菜
鄭 大羽 @鄭大羽
茨城県稲敷市にあるかくま牧の鹿熊修さんが牧場の一角で個人的に作っている生ハムをお会いしましたときにいただいたら、個人的に使っているとは思えないほどうま味と熟成の香りがあって驚かされました。そのときの感動のまま、生ハムだけを食べていただくのが一番おいしいと思いながらも、塩味とうま味に苦みを加えて奥行を与えようと考えて、春らしい山菜のウドとともにいただけるひと口タコスに仕上げました。上にのせた花は、柴田農園のセルバチコの花です。
【右】柴田農園のハーブと自家製リコッタチーズ
大林蒼也 @そうや
茨城県高萩市にある柴田農園さんのマイクロハーブやエディブルフラワーの味わっていただくため、できるだけシンプルにほかの要素を加えないようにしました。やさしい味わいの自家製のリコッタに、酸味と甘味でハッサクの身を加えています。柴田農園の柴田祥平さんがおすすめで送ってくださったハーブの香りを味わってほしいです。
【ペアリング】町田さくら @町田さくら
芋焼酎のソーダ割(Alc)
「flamingo orange」(国分酒造、鹿児島県岸島市)の柑橘系の香りがするイモ焼酎をソーダ割にしました。
グレープフルーツ&レモングラス(N/A)
料理
風早いちご園のとちおとめと豊洲の大元商店から仕入れた鰤のペルー風カルパッチョ
明 志勲
茨城県鉾田市の風早いちご園の「とちおとめ」は、先からヘタまで赤い色が均等でしっかりと熟しているのと、バラ科の植物らしい香りが強くシャープに伝わってくるのがいいと思いました。
畑で試食をさせていただいた時から、魚のカルパッチョにしたいと思い、それからどういう仕立てにしようかいろいろと考えていたなかで、韓国のワインバーで出会った南米やペルーにあるドレッシング「タイガーミルク」を合わせようと考えました。タイガーミルクは、オリーブオイルとショウガ、ニンニク、トウガラシ、ライムジュ―ス、水を攪拌しただけのシンプルなもの。スライスしたイチゴとキュウリ、パプリカを盛りつけた上にたっぷりとかけています。
今が旬のブリは、Food HEROes U-30 COMMUNITYのメンバーの和田響さんが勤める豊洲の魚卸「大元商店」から仕入れたものです。
【ペアリング】町田さくら
どぶろく(Alc)
どぶろくは、長野県佐久市の武重本家酒造の「十二六」です。米の甘味に乳酸由来の酸味、程よい刺激の炭酸の泡のバランスがいい味わいがあります。
阿波番茶(N/A)
タコス 1
つくばチョウザメ産業のチョウザメのクルスティアンと燻製タコス
大林蒼也
おそらく多くの人が「チョウザメ」を初めて食べると思います。なかには「チョウザメって食べれられるの?」というような不安をもつ人もいるのではないでしょか。そこで、徹底的においしくして、チョウザメとの最初の出会いを最高のものにしたいとフレンチの宜保を使って、徹底的においしく仕上げました。
チョウザメがもつ土の香りがネガティブにならないように、あえて土の香りがするゴボウをぶつけました。スライスしたゴボウを衣変わりにしてフライにしています。
ソースは、チョウザメの骨でとった出汁に白ワイン、生クリームを加えて煮詰めたブール・ブランです。ミルポワ(香味野菜)を加えずにソースを作ったのは、チョウザメの香りを感じていただきたいと考えたからです。またチョウザメは、ゼラチン質が多いので、何度もゆでこぼすして濃度を調整してから出汁をとりました。
またタコスの生地は、トウモロコシ粉に燻製をかけています。
【ペアリング】町田さくら
国産ラムのお湯割り(Alc)
沖縄県伊江村の伊江島で、島内で採れたサトウキビで造られた「イエラム サンタマリア ゴールド」をお湯割りにしまhした。
あたたかいほうじ茶(N/A)
タコス 2
山西牧場とかくま牧場の三元豚を使ったフリースタイルタコス
鄭 大羽
Food HEROes U-30 COMMUNITYの月1のイベントで茨城県の生産者さんのもとを訪ねるフィールドワークをしています。2月には、2軒の養豚農家さんにお会いしました。今回は、その2軒の養豚農家さん「山西牧場」と「かくま牧場」の三元豚を食べ比べていただくようなタコスにしました。
山西牧場の三元豚は「三右衛門/3 é mon」の自社ブランドで販売されています。「飲める脂」といわれるほど軽やかでキレのよい脂が特徴です。その脂のおいしさを楽しんでいただきたいと思い、バラ肉を薬膳とともに煮て韓国式のポッサムのような角煮にしています。
生ハムも食べていただいたかくま牧場の三元豚は、生ハムでもわかるようにうま味が強いことを感じました。また、山西牧場さんの対比として赤身のおいしさを感じていただけるように肩肉をコチュジャン、ヨーグルトでマリネして、低温のオーブンでゆっくり火入れしてプルドポークにしました。
ほかにはかくま牧場の自家製ベーコンを使ったチリコンカンにワカモレ、行者ニンニクの醤油漬け、野菜、ライムとレモンを韓国に昔からある宮廷料理の九節板(クジョルパン)をイメージして盛りつけています。まずは、そのまま2つの豚肉の食べ比べをしていただいてから、自由に生地で包んでお召し上がりください。
【ペアリング】町田さくら
黒糖焼酎のソーダ割り(Alc)
鹿児島県奄美大島の黒糖焼酎「ISLAND」のソーダ割りです。
クラフトコーラ(N/A)
AWAトクシマコーラ(徳島県)は、柑橘王国・徳島県の柚子、「柚香(ゆこう)」、酢橘と、伝統の乳酸発酵晩茶を加えたクラフトコーラです。
タコス 3
山一ファームと渋谷俊雄さんのさつまいもを使ったデザートタコス
明 志勲
茨城県のフィールドワークで、鉾田市の「山一ファーム」と、行方市のサツマイモ博士こと渋谷俊雄さんにお会いし、両方で10種類以上のサツマイモ品種の食べ比べさせてもらいました。
山一ファームでいただいたなかで「安納芋」の香りがとても良く感じました。さらに甘味がゆっくり伝わってくる印象で、甘いパーツをのせるタコス生地にむいていると思いました。
渋谷さんのところでいただいた「くりまさり」は、どこか薬膳の香りを感じる個性的な品種で使ってみたいと思いました。ベースに苦さをわずかに感じもしました。
生地は焼き芋にした安納芋に焼き、小麦粉、ベーキングパウダー、オリーブオイルを加えて焼き芋らしさを感じられるような配合を目指しました。そのうえに生クリームをのせ、焼きもにしたくりまさりをスティック状にかっとして揚げて薬酒、塩で和えてたものをのせ、くりまさりに感じた苦みを燻製したトウガラシ「チポトレ」、バラやラズベリーのニュアンスがあるスパイス「スマック」、カカオ濃度が72%と86%とことなる2種類のチョコレートを削りかけてあります。
【ペアリング】町田さくら
紅芋焼酎のコーヒー割り(Alc)
鹿児島県いちき串木野市の大和桜酒造の紅芋焼酎「大和桜」をコーヒーで割りました。
コーヒー(N/A)
参加メンバー
参加メンバーは4人左から明 志勲、鄭大羽、町田さくら、大林蒼也。
【リードシェフ】
鄭 大羽(チョン テウ)|Chong Daewoo
1995年生まれ。高校卒業後韓国に渡り、韓食を学びながら国家資格である「韓食調理技能士」を取得。日本に戻り、埼玉ベルエポック製菓調理専門学校にて学ぶ。卒業後はオセアニア料理など、様々なジャンルの料理を学ぶ。その後、韓国に渡り、ミシュラン2つ星の「Mingles」や韓国デリショップで働きながら本格的に韓国料理を学ぶ。 帰国後はフリーランスの料理人として、主に出張料理やポップアップイベントの開催している。 2022年「CHEF1グランプリ」ファイナリスト。Food HEROes U-30 COMMUNITYの第1期メンバー。
Instagram:https://www.instagram.com/sim_modernkorean/
【シェフ】
明 志勲(ミョン ジフン)|Myeong Ji Hun
1993年生まれ、韓国出身。料理人。ナチュラルワインバーのシェフ、食文化研究員(古文書、歴史等の基礎研究)などを経て、現在は、銀座の中華料理店で働く。 2023年「CHEF1グランプリ」2回戦進出。Food HEROes U-30 COMMUNITYの第1期メンバー。
Instagram:https://www.instagram.com/the.worldof.jay/
大林蒼也|Souya Obayashi
1994年生まれ、大阪府出身。飲食producer。エコール辻専門学校イタリアフランスマスターカレッジ卒業。新卒で兵庫・芦屋のフレンチレストランに就職。大阪のイタリアンを経てイタリアへ。シチリア島のレストラン「VOTAVOTA」で働いた。帰国後は、大阪の有名結婚式場を経て独立。現在は、店舗の立ち上げ・出張料理・EC販売・イベリコ生ハム卸・店舗コンサルティング・医療関係の方との健康食品開発・イベント事業など多方面で活躍中。Food HEROes U-30 COMMUNITYの第4期メンバー。
Instagram:@souyaobayashi
【ドリンクディレクター】
町田さくら|Sakura Machida
2000年生まれ、埼玉県出身。2019年小さな日本酒barをプロデュース。2021年から長野県木曽町にて蔵人として酒造りを学ぶ。冬は蔵人、夏は企画会社の生活を経て、2024年1月より株式会社ぷくぷく醸造のCFOに就任。Food HEROes U-30 COMMUNITYの第1期メンバー。
Instagram:https://www.instagram.com/sakesakesaku/
【サービス】
シドニー・シークフォード(3/10)
IG:https://www.instagram.com/nezumouse_/
宮武茉子(3/11) @けまこ
X:https://twitter.com/kema1015
IG:https://www.instagram.com/kemako1015/
【DJ】
NAMEX(行方秀憲) @なめかた
IG:https://www.instagram.com/nameko_hide/
【撮影(人物)】
鈴木果南 @すずきかな
IG:https://www.instagram.com/kanp_kitchen/
生産者紹介
料理人や食関係に従事する若者が集う30歳以下限定のオンラインサロン「Food HEROes U-30 COMMUNITY」では、サロン内限定イベントとして毎月茨城県内の産地をめぐるイベントを実施しています。8月のプレイベントでは、卵がキャビアとして活用されるチョウザメ(キャビアフィッシュとも)の養殖場、Ⅰ月にはサツマイモ、2月にはイチゴ、養豚の現場を訪ねて、生産者と交流を深めてきました。
その産地訪問で出会った食材を使ってタコスを提供するのが「タコスセッションvol.02」です。2024年1月21日、22日の2日間に開催して以来、2度目になります。
柴田農園(茨城県高萩市)
柴田農園は、茨城県の北部、高萩市にあるハーブやエディブルフラワー(食用花)などを栽培する農園です。農園では、「花」、「野菜・米」、「ハーブ」の3部門があり、ハーブ部門は3代目園主の柴田祥平さんの就農がきっかけではじまりました。
ハーブと同時に、もともと家業として行っていたお花の栽培のノウハウを活かして、エディブルフラワーの栽培も開始。現在は、ハウス4棟あわせて10a(0.1ha)の栽培面積でハーブとエディブルフラワーを栽培しています。ハーブ本来の香りと味わいをしっかり感じられること、レストラン到着後もしっかり日持ちさせることを考慮して土耕栽培にこだわっています。化学農薬も使いません。取引先は県内外あわせて60軒以上。都内のレストランには、ミシュランの星付きレストランもあります。
IG:https://www.instagram.com/shibata.farm/
風早いちご園(茨城県鉾田市)
風早いちご園の風早総一郎さんは、20代は、東京・両国の「シェイクツリー」や人形町の「ブラザーズ」といった、グルメバーガーの人気店で料理人として働き、料理長も経験したたのち、イチゴ農家に転身しました。
風早さんの師匠は、同じ鉾田市のイチゴ農家で都内の一流店、ホテルなどに卸す村田和寿さんです。2年間の研修ののち、独立、師匠と同じくとちおとめを栽培しています。風早さんのイチゴの特徴は、酸味と甘味のバランス。とくに「酸味があるほうが料理しやすいと思う」と料理人目線がバランスの良さを生み出しています。
IG:https://www.instagram.com/kazahaya_ichigo/
つくばチョウザメ産業(茨城県桜川市)
チョウザメは、シーラカンスとともに生きた化石といわれる古代魚です。およそ3億年前には生存していたとされており、生態の謎もまだまだ多い未知の生き物です。
チョウザメの卵は、塩漬けにすれば世界的な高級食材「キャビア」になります。現在は国内産キャビアの製造が各地で行われ、地域の新しい産業として注目もされています。
一方でチョウザメは卵をもつまでに7年以上かかるとされています。稚魚として養殖場にくるのは生後2カ月ほどかかるため、卵をもつまでの7年間は、飼育費だけが積みあがっていきます。さらに、稚魚の性別を判別できず、わかるのは3歳になってから。つまり、卵を産まない雄も3年間は育てないといけないわけです。事業者の負担はさらに増します。
海外でチョウザメの肉は、食材として広く知られております。料理にひんぱんに使われるほか、缶詰などの加工品になったり、さいらんごの雌の身は飼料やペットフードにまわされるなど、ロスのない仕組みができあがっていますが、日本ではまだまだチョウザメの身の価値づくりができていない、未利用魚の一つといえます。
Food HEROes U-30 COMMUNITYでは、コミュニティ設立前のプレイベントで、茨城県桜川市の「つくばチョウザメ産業」を訪ね、チョウザメようしょくの現場を見たほか、実際にチョウザメを捌いて試食をしてきました。今回は、そこで得たチョウザメ肉の可能性をタコスで表現していきます。
かくま牧場(茨城県稲敷市)、山西牧場(茨城県)
豚肉といえば、イベリコやアグー、マンガリッツァ、ランドレースなど品種に目が向けられたり、飼料や飼育環境を付加価値にしたブランド豚が多くありますが、フィールドワークで訪ねた「かくま牧場」と「山西牧場」は、ともスーパーでよく見かける「三元豚」(三世代にわたって掛け合わせをしたもの)を育てている養豚農家でした。
防疫のため豚舎の見学ができませんでしたが、三元豚の掛け合わせや飼育方法、生産管理のほか、精肉の流通と小売りの関係などを聞いたとともに、実際に豚肉を食べ比べたことで同じ三元豚でも考え方の違いで香りや脂の感じ方が変わることもわかりました。
今回のイベントでは、その2つの養豚農家さんの豚肉の特徴を引き出すように調理をしてタコスに仕上げました。かくま牧場からは肩肉を、山西牧場からはバラ肉を使わせてもらいました。
山一ファーム(茨城県鉾田市)
茨城県南東部の鉾田市にある山一ファームでは、メロンとサツマイモを栽培しています。メロンはちょうど今頃から苗づくりが始まって5月から7月で収穫終了します。サツマイモは、メロンの収穫が始まる5月から6月頃に差し木で苗を畑に植えて、10月から収穫をします。
サツマイモは秋のイメージが強い食材ですが、じつは1月から3月にかけてが一番おいしい「旬」でもあります。それは、「キュアリング」という処理を行った後に低温熟成をするからです。
キュアリングとは、室温30℃~35℃、湿度100%にした保存庫で3日ほど置くことでイモについた外傷を修復し、さらに皮の内側の身の部分に薄い膜をはることで長期保存を可能にする処理です。
そもそもサツマイモ自体は皮が薄くて傷がつきやすい作物で、その傷から腐敗が進むことからキュアリング処理をしないで長期保存することはあまりむかないといいます。
「他の県でもキュアリング処理をしている農家さんはいるけど、茨城県のようにほぼすべての農家がやっているわけではないんですよ。茨城県では、各農家がキュアリング施設をもっているか、JAが行うか、いくつかありますが、ほぼすべての農家がキュアリング処理をして長期保存をしています」と山一ファームの石田さんもいいます。
長期保存によって、サツマイモのデンプンが糖に変わり、甘いサツマイモになるというわけです。
渋谷俊雄さん(茨城県行方市)
渋谷さんは、サツマイモが大好きで、日本一の焼き芋好きを自称するほど。渋谷さんはサツマイモのみを育てていて、畑では12、13種類の品種を育てています。この日も、渋谷さんのご自宅の土間で石油ストーブで焼いた焼き芋を食べながらその品種の個性を説明してもらいました。
「べにはるか」や「ベニアズマ」など広く知られる品種は、行方でも鉾田でも作られていますが、そのほかの品種をみると、地域の違いがみてとれます。行方は赤土系、鉾田は砂地ということで合う品種も違うそうで、行方では「べにまさり」や「べにこまち」「ひめあやか」「くにまさり」といった肉質が粉質の品種が向くそう。「すずほっくり」という品種のバターのような香りも印象的でした。
Food HEROes U-30 COMMUNITYとは(第6期生募集中)
飲食業界で働く30歳以下(U-30)の若者が集まるオンラインコミュニティです。街のレストランやホテル勤務やフリーランスだけでなく、専門学校生やフードクリエイター飲食関連の企業に勤める社会人も参加できます。
参加費:3,300円/月(税込)、サロンメンバーは毎月募集中(毎月27日締切)
https://community.foodheroes.jp/about(第6期生募集中、3/27締め切り)
メンバー35名(2024年1月9日現在)
その他メンバーの特徴
ミシュラン星付き店勤務
3つ星 2名
2つ星 2名
1つ星 1名
国籍
韓国 2名
アメリカ 1名