毎月開催しているメンバー限定の産地訪問、11月には千葉・館山でF1新品種の魚の養殖を開発しているスタートアップ「さかなドリーム」の施設を見学してきました。


さかなドリームは、日本の4,000種を超える魚から「味の良さ」の視点で魚を選び、 世界最高峰の技術によってまだ誰も味わったことのない「世界一旨い魚」を創り出すことを目指している水産スタートアップ企業です。

例えば、豚肉なら味や生産性を高めるために三世代交配させた三元豚とかあるのに、魚は単一で掛け合わせをしていません。そこに「さかなドリーム」は目を付けて、魚のF1種を開発しようとしています。

すでにマアジ(アジ目アジ科の海水魚の一種。北西太平洋の沿岸域に分布する)にカイワリ(スズキ目アジ科の海水魚の一種。インド太平洋の暖海域に分布)とかけあわせた新種のアジ「夢あじ」という新しい魚を生みだし、実際に館山の沿岸のいけすで養殖が始まっています。

繁殖能力を持たない一代限りの養殖魚

まずは漁港から船にのって沖合にある生け簀を見学します。

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1面の生け簀に4000匹ほどの夢あじが育てられています。生け簀があるのは館山の沿岸でも潮の流れが強い場所だそうで、急流によって魚がしっかり動くので良い身質になるといいます。

海上での魚の養殖は、外敵や天災などによって生け簀の網が破れて魚が逃げだし問題になっています。養殖で有名なノルウェーサーモンなどでも起こっているそうで、生け簀の周辺の生態系を壊す恐れがあるほか、天然の魚と交配して交雑種が生まれることにもつながります。

さかなドリームではそうした恐れを防ぐ意味からも精子や卵のもととなる幹細胞を持たない(繁殖能力を持たない)一代限りの養殖魚を生みだし、万が一逃げ出しても交配しない、さらには養殖魚同士で繁殖しないようにして、天然の海への影響を減らそうとしているといいます。いわゆるサステナブルな取り組みです。

「夢あじ」は脂がのって身が厚いアジの進化魚種だった

生け簀を見学したあとは、さかなドリームの事務所の場所をお借りして、実際に夢あじをさばいて試食もさせてもらいました。

見学に参加したFood HEROes U-30 COMMUNITYのメンバーであるミョン ジフンさん(モダン中国料理人)@ジフン と岸本健志さん(日本料理人)@@健志 が実際に包丁を握ってさばいてもらいます。初めての魚ということもあり、まずは部位ごとに切り方をかえるなどして、夢あじの食味の可能性を探っていきます。一部は炙りにしてみました。

実際に触ってみた感想は、脂の乗りの良さだと2人はいいます。

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そして、さかなドリームのスタッフのみなさんを交えて試食していきます。食べた感想は、関アジのように脂がのっているのと、身の厚さ、養殖特有の臭みが少ないとても扱いやすい魚であるというのが、2人の若手料理人の共通意見です。

ほかにも2人から以下のような感想がありました。
・腹周りが分厚い
・骨太くてややかたい
・青魚であるアジの匂いとは違うミルキーさがある
・ハムやベーコンのような香りを感じる

新しい武器(食材)を探す次世代の料理人にピッタリ

日本人にとって魚は、民族の根幹にあるもので、その歴史的、文化的な背景とともに自然と共有している価値観のひとつです(たとえば米と同じように)。それは微妙な魚種の違いを理解し、調理を含め食べ分けることができる。世界的に特異な特徴を持っているといえます。

ゆえに天然主義が強く「天然>養殖」の価値観があるのも事実です。だからこそ文脈のない新種の魚に日本人は戸惑うこともあるかもしれません。とくに年寄りの筆者は「新しい味(アジ)」に戸惑った一人です。

しかし一方で、FHのメンバーの二人は素直に夢あじの味わいを受け入れて、どうおいしく食べるかを楽しそうに意見を交わしていたのが印象的でした。新しいものを好む、興味をもつというのはFHのメンバーの特長でもあります。

新しい技術と新しい価値観、それを一時のブームでなくどう文化としてどう根付かせていくか。違いがわかる日本人だからこそできることでもある一方で、違いがわかるからこそ反感も生まれる可能性もあります。

こうした新しい取り組みには、おそらくFHの30歳以下の人材の方が相性が良いのではないかと思います。

歴史や文化から離れて、楽しそうに語り合う2人をみて、彼らの夢あじ料理を食べてみたいと思いました。彼ら2人でなくとも、夢あじに出会った若い料理人のなか新しい料理が生みだされる。そんな未来を考えると楽しみでなりません。

さかなドリームの夢あじは、2025年をめどに一般販売を開始する予定で、すでに12月に都内の魚屋さんでテスト販売も行っています。

2025年1月7日(火)からは中目黒「サカナバッカ」での販売も決まっているそうです。新しい食材(武器)を探している若手料理人にもぜひ知ってもらいたいです。

■第2回テスト販売:サカナバッカ中目黒において【50尾限定】で販売
2025年1月7日(火)~2025年1月13日(月)までの7日間、サカナバッカ中目黒(東京都目黒区上目黒2-21-4)にて「夢あじ」を【50尾限定(期間計)】で販売いたします。
※サカナバッカ中目黒:https://sakanabacca.jp/pages/nakameguro


案内をしてくださった石崎勇歩さん、さかなドリームの皆様、貴重な機会をありがとうございました。
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おまけ

さかなドリームの見学のあとは、館山市内にある「鮨匠 なか川」で、江戸時代の握りずしの姿を残す館山市名物の巨大寿司(田舎寿司)を体験してきました。

シャリがとにかく大きい、もちろんネタも大きい!    館山の魚をしっかり堪能。Food HEROes U-30 COMMUNITYの産地訪問では、こうした地元の食べ物に触れられるのも楽しみのひとつです。

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さらに帰りには、館山市内のピーナツ専門店「木村ピーナッツ」で、ピーナツソフトをデザートに。

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帰路で海ほたるに寄ったりと、すっかり楽しい旅行になって1日を終えました。

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Food HEROes U-30 COMMUNITYは30歳以下の料理人を中心にしたオンラインコミュニティ(オンラインサロン)です。普段の職場や友人たちという大切なコミュニティを支える「料理業界の仲間」が集うサードプレイスとして、コミュニティが主催する産地訪問やフードインベントに参加すること仲間と出会い、新しい食材や価値観を知ることで、本業によいフィードバックを与えます。

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