ローカルオイシーヌ ~美瑛と木曽の食事会
日時:2024年10月6日(日) 18:00~
10月7日(月)12:00~/19:00~
場所:フォレストゲート代官山 2階 調理室@東京都渋谷区代官山町
料金:22,000円(飲み物込み)
個性豊かな5人が美瑛町と木曽町を食で表現
代官山駅前に2023年にオープンした話題の複合施設「フォレストゲート代官山」の調理室でFood HEROes U-30 COMMUNITYのメンバーが企画した食事会「ローカル・オイシーヌ」を10月6日と7日の2日間にわたり開催しました。
2024年6月に長野県木曽町と北海道美瑛町へ産地訪問に行ったFood HEROes U-30 COMMUNITYのメンバー5名が料理やドリンクを担当し、地域の素材をふんだんに使って1つのコースをつくりました。フードは全10品、ドリンクは全8品と盛りだくさんな内容です。
イベントには、美瑛町や木曽町にゆかりのある方や食の地方創生に取り組む方、都内や地方で活躍する若い料理人、Food HEROes U-30 COMMUNITYのメンバーなど2日間で28名のお客様が来場しました。
北海道美瑛町の食材を案内したのは、2024年4月に北海道美瑛町の地域おこし協力隊に着任した鄭大羽さんです。美瑛町の食材の美味しさに惚れ込み、移住を決めました。美瑛町の魅力をおもに料理で表現します。
鄭さんとともに料理を担当したのは、CHEF-1 グランプリ2023準優勝を獲得された丸山千里さんとプライベートシェフ(出張料理人)として企業やVIPに料理をつくるSOUYAさんです。二人は、2024年6月に美瑛町を訪ね、生産者をまわったほか現地のレストランを借りて1夜限りのポップアップレストランを開催してきました。そのチームワークを活かし、美瑛町だけでなく、木曽地域の食材までも取り入れたコースを生みだしました。
長野県木曽町の食材や酒を案内したのは、2021年から長野県木曽町にある「中善酒造店」にて3年ほど蔵人として酒造りを学んだ町田さくらさんです。蔵人として、木曽町で暮らす中で、町の人々の雰囲気に惹かれ、そこで生まれる美味しい酒や郷土料理も含めて、町に惚れ込みました。木曽町の風土を表現したドリンクコースで、木曽町のほか周辺の木曽地域の日本酒の飲み比べや、木肌や檜など木の地域・木曽をイメージさせる素材を使ったカクテルをプロデュースして木曽町の魅力を伝えます。
町田さんプロデュースのもとオリジナルカクテルを考えたのは、西新宿にある世界的なバー「BenFiddich」で働く伊藤大輔さんです。伊藤さんは、2024年6月に木曽地域をまわり、地域に根付く発酵文化や酒、食材を見てきました。伊藤さんは、そのなかで発見した未利用素材(普段は食材として活用されないもの)を使って、木曽地域の歴史や風土を表現するカクテルをつくりました。
フード10品、ドリンク8品を一気に紹介
イベントは、木曽地域の酒蔵、杉野森酒造の「narai」がウェルカムドリンクとして配られ華やかにスタートした後、美瑛町産の羊肉のタルタルとトマトと木曽町産の酒粕のアミューズで料理が始まります。
つづいて木曾地域の発酵文化を伝えるチーズ工房「開田高原アイスクリーム工房」のすんきのヨーグルトを使用したした丸山さんの繊細な料理が運ばれます。それに続いたのは、鄭さんが美瑛町からもってきた野菜の料理。ダイナミックな美瑛町の風土で育った力強い野菜を使った料理で美瑛町の魅力を伝えます。
料理と並行して提供されたのは、木曽地域の3つの酒蔵「中善酒造店」「七笑酒造」「湯川酒造店」の酒です。同じ酒米「美山錦」を使いながらも、仕込みの水の性質の違いや製法の違いなどを飲み比べながら、木曽地域の酒の魅力に迫ります。
時折、木曽地域の木肌や檜などの素材を使った伊藤さんのカクテルが出てくるところに、さまざまな人が関わってコースをつくるローカル・オイシーヌらしさが出ていました。
コースは、やがてクライマックスに。木曽地域のジビエ(熊肉)を使ったパスタや美瑛町産豚肉を使ったメイン料理が運ばれた後、、調理室のカウンターキッチンに美瑛町産の炊き立ての新米が登場。その場でおにぎりを握るパフォーマンスでゲストを楽しませます。木曽町の味噌玉製法の味噌を使った味噌汁が一緒に提供され美瑛町と木曽町が手を取り合って大団円。最後にトウモロコシのデザートが出て、賑やかなコースは終了しました。
イベントを盛り上げた代官山「エトヌンク」のパンビュッフェ
イベントを盛り上げたのは、会場になったフォレストゲート代官山にあるベーカリー「エトヌンク」に依頼し、美瑛町産の小麦粉を使ってつくってもらった豪華なパンビュッフェです。
北海道は小麦生産量が全国第1位を誇る一大産地。美瑛町でも小麦の生産が行われています。エトヌンクの星敏幸シェフによると、美瑛町の小麦は米のような香りがあるそう。パンビュッフェではフォカッチャ、ジャガイモ入りのフォカッチャ、カンパーニュ、胡麻カンパーニュ、バゲット、チャパタ、クロワッサン生地に栗をまるごと乗せた甘い「マロン」、珍しいクロワッサン型のクイニーアマンの全部で8種類のパンを用意してくれました。
パンビュッフェは、食事中ならおかわり自由で食べるようにしました。そうすると自然とお客様に動きが出るためつくり手と食べ手の交流が生まれるだけでなく、隣り合うお客様同士にも会話が生まれ、良い雰囲気が生まれます。さらに余ったパンはおみやげにお持ち帰りできるようにしました。
星シェフにも参加いただき、実際にパンを切り分けてもらうなど、多大なご協力をいただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。
より良い食事の時間にしてほしいというメンバーの発案で実施したパンビュッフェは、その意図以上にたくさんの交流生まれまた。
美瑛町と木曽町から生産者を招いてともに食事をする
地域の食により興味をもってもらいたい。地元の生産者にも育てた食材がどんな料理になって、どんな環境で食べる人に届いているのか知ってもらいたい。そんな想いから、イベントに美瑛町と木曽町から生産者を招待し、会に参加して一緒に食事をしてもらいました。
美瑛町からは、23歳という若きジャガイモ農家の久龍 貫さん(下の写真、右)がきてくれました。
久龍さんのジャガイモを使ったジャガイモ料理を鄭さんが考案しました。自分が育てたジャガイモが料理され、それを食べた人から感想を聞けるという機会は、今までになく「貴重な経験になった」と久龍さんはいいます。
木曽町からは「開田高原アイスクリーム工房」の代表でチーズ職人の斉藤信博さんがきてくれました。
開田高原アイスクリーム工房の商品で、木曽の伝統食「すんき漬」の植物性乳酸菌を使った日本初のスンキ菌ヨーグルト「スンキーヨーグルト」を使って丸山さんが考案した料理を実際に食べてもらうことができました。
食を通して地域の課題を知ってもらいた
郷土料理を意味する「Local cuisine」と「おいしい」を掛けあわせた造語の「ローカル・オイシーヌ」は、Food HEROes U-30 COMMUNITYとしては初の試みとなる、地方と料理を紐づけたイベントでした。
今年4月から始まったプロジェクトは、鄭大羽さんと町田さくらさんがコミュニティ内で出会ったことがきっかけで生まれました。ともに埼玉県出身ながら、地元ではなく美瑛町と木曽町に惹かれ、地域創生をしたいという似たような思いをもった二人は、協力してイベントをすることを企画します。
そして2つの町が「『日本で最も美しい村』連合」の加盟村であったことも企画をさらに推し進めました。
そこからFood HEROesのメンバーは、2024年6月に長野県木曽町とその周辺エリア、そして北海道美瑛町へ出向き、地域の食文化を体験し、そこで暮らす生産者をはじめとした人々に出会い、それぞれの地域に触れてきました。メンバーが地域を旅してどんな所に魅力を感じたのか、それをFood HEROesらしく「おいしい食」を通じて表現し届けよう、と考えたのが「ローカル・オイシーヌ」でした。
今回のイベントは、同年代の人らを移住までさせてしまう地域の雰囲気や魅力は何なのか、料理を通じて想像力が刺激され、東京に居ながらも地域を感じさせる食事会。実際、お客様のなかには「実際に行って、風景を見てみたい」という声もあがっていました。料理を食べた人々の心の中に、各地域の風景や情感が伝わり、刺激になったのは「ローカル・オイシーヌ」の目的を果たすことができたといえるのではないでしょうか。
今回は、北海道美瑛町と長野県木曽町という、内陸地域の2か所にフォーカスしました。北海道美瑛町は丘の町、長野県木曽町は山に隣接した町と一見接点がない2地域です。しかし、どちらも自然が豊かな土地柄で、料理の中でそれぞれの食材がマッチしていくのを体感できるのが充実した時間に感じました。
また、各地域の課題として人口の減少があります。人口減少は地域の消失にも繋がる重大な課題であり、1つの地域が無くなることは、食材もそうですが、食文化の消失にも繋がる話しです。こうした食事会を通じて、地域に思いを馳せたり、少しでも取り上げた地域が盛り上がることに繋がればと思いました。
料理の食材と、作られる地域は密接な繋がりを持っています。その土地のストーリーを料理で表現できるのがFood HEROesです。今回のイベントを通じて、今後も様々な形で地域や食材を盛り上げて行きたいと考えております。
当日の料理の紹介はこちら
美瑛町の案内人 鄭 大羽
美瑛の食材、風景、空気など人が生きて生活をするすべての要素に惚れ込み移住をしました。
初めて美瑛を訪れたのは去年のちょうどこの時期。美瑛で口にした食材はどれも味が濃いのに優しさがありました。
この優しさは生産者さん、地元の方々の優しさから生み出された味なのかもしれません。
美瑛と木曽の豊かな食の魅力を食べてる方の心ダイレクトに届くよう、また自分が初めて美瑛を訪れ味わった感動を皆様にお届けします。
Food
ファームズ千代田の美瑛羊のタルタル
トマトと中善酒造店の酒粕
開田高原アイスクリーム工房のすんきヨーグルトとカブのブランマンジェ
美瑛・あらいふぁーむを中心に美瑛町産の野菜を使った一皿
美瑛町産のじゃがいも
木曽の百田健二郎さんの熊のラグーと美瑛町産小麦のパスタ
美瑛もち豚と藁
美瑛米のおにぎり味噌玉製法で作られた木曽・小池糀店の味噌汁
美瑛町産のとうきびと美瑛牛乳を使ったキャラメルのアイス
【パンビュッフェ】
エトヌンク 美瑛町産の小麦を使ったたくさんのパン
北海道美瑛町の案内人
鄭大羽
1995年生まれ。埼玉県出身。フリーランス料理人。2024年4月より北海道美瑛町に移住し、同町の地域おこし協力隊に着任。自身のルーツである韓国の料理を現代的にアレンジしたモダンコリアンのジャンルの料理を作る。テレビ番組で料理界のM-1と呼ばれる「chef-1グランプリ」の2022年大会のファイナリスト。Food HEROes U-30 COMMUNITYの第一期メンバー。
@鄭大羽
木曾町の案内人 町田さくら
たった一口のお酒に人生に狂わされ、今では木曽谷に深くハマってしまいました。
柔らかく綺麗な水が、山から湧き出て酒蔵へ流れ込む。 木曽の杜氏たちが、情熱とプライドをかけて酒を造る。 厳しい寒さが美味しさをじっくり育む。 木曽の酒器で呑めば、さらに美味しい。 軽く、美しく、長く使い続けるほど愛おしい。 器になってもなお、木は生きている―。
たった一口の酒から、川、山、ヒト、歴史、文化まで繋がっていくストーリーを、まずは「美味しい」から味わってみてください。
DRINK
narai(杉野森酒造) NA 木曽の森のジントニック
カクテル|制約
木曽の木肌、ラベンダー、カンティニ、梨、桃の葉
NA カキドオシ、エルダーフラワー、ラベンダー、梨
中乗さん 特別純米(中善酒造店) NA 植物性乳酸あま酒(中善酒造店)
七笑 純米酒(七笑酒造) NA ジンジャービア
十六代九郎右衛門 十三度台九郎衛門(湯川酒造店)
NA シャルドネ ブドウジュ―ス
十六代九郎右衛門 山廃純米(お燗、湯川酒造店)
NA クラフトコーラのお湯割り
カクテル|創造
木曽の檜、ベルモット、コーヒー、イチゴ
NA 木曽の檜、コーヒー、イチゴ
よもぎ茶
(NA:ノンアルコールドリンク)
長野県木曽町の案内人
町田さくら
2000年生まれ。埼玉県出身。2019年小さな日本酒barをプロデュース。2021年から長野県木曽町の「中善酒造店」にて蔵人として酒造りを学ぶ。2年間、冬は蔵人、夏は企画会社の生活を経て、2024年1月より福島県南相馬市を拠点にした株式会社ぷくぷく醸造のCFOに就任。HEROes U-30 COMMUNITYの第一期メンバー。
@町田さくら
Food HEROes U-30 COMMUNITY参加メンバー
丸山千里(フードクリエイター) @まる
SOUYA(フレンチシェフ) @そうや
伊藤大輔(バーテンダー) @伊藤大輔
協賛:長野県木曽町、北海道美瑛町、江別製粉株式会社、開田高原アイスクリーム工房
関連情報
「日本で最も美しい村」連合web:https://utsukushii-mura.jp/
【会場】フォレストゲート代官山 web:https://forestgate-daikanyama.jp/
【パンビュッフェ提供】 エトヌンク 代官山 web:https://etnunc.jp/
取材協力:池田祐希乃 @ゆきの
Food HEROes U-30 COMMUNITYについて(参加登録もこちら)
https://community.foodheroes.jp/about
Food HEROes U-30 COMMUNITYの食で地域を盛り上げていく活動に興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。
info@foodheroes.jp (江六前)