Food HEROes初のイベント「タコスセッション」、皆様本当にお疲れ様でした。
連日大盛況の様子がインスタグラムなどでも流れてきて、やはり料理人が集まるっていいなあと思わせる素敵なイベントでした。
残念ながら私は写真撮影や土曜日の仕込み、日曜日の開催に日程を開けられず不参加となってしまいましたが、せっかくなのでタコスについてのコラムを書こうと思います。

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タコス原型の歴史は今から約6000年前に遡る。メキシコで中央高原の先住民がトルティージャに蒸しインゲン豆や唐辛子を挟んだ料理を携帯食として重宝していた事が起源と言われている。1846年にメキシコとアメリカによる米墨戦争によってテキサス州がメキシコからアメリカのものになり、その後も民族の交流や移動が絶えず起こったことによって文化の混在化が行われていった。
「テックス・メックス」は、そうした背景から生まれたメキシコ風アメリカ料理であり、現在のタコスもこれに分類される。(ナチョス、ブリトー、チリコンカンもこれに該当する)

ただ、メキシコ人のタコスに対する愛とこだわりは絶大で、タケリアというタコスをメインに扱う屋台は平均400メートル以内に点々とあり、国民1039人に対して1軒(日本の寿司屋は約5555人に対して1軒    日本の寿司屋よりも多い!笑)あるという計算結果もある。
また、特にタコスに欠かせないトルティージャの原料となるとうもろこしもかなり歴史があり、原種である「テオシントレ」は約8000年前からメキシコ人の腹を満たし続け、その3000年後には品種改良の末、今のとうもろこしになったという。
もちろんとうもろこしの神様も存在していて、マヤ語でム・カッシュ、ユㇺ・ウイル、アステカ語でシンテオトルという名前で信仰されており、さまざまな儀式や信仰が残っている。

2010年、5000を超える種類があるメキシコ料理はユネスコの無形文化遺産に登録され、さらに注目を集めた。東西南北に広がる土地にてさまざまな地方料理が作られ、中にはチョコレートとスパイスで作ったソースを肉につけて食べる「モレ」という料理や、黄色だけでなく、青や白などの色があるとうもろこしを使ったさまざまな料理が登録された。

和食も2013年にユネスコの無形文化財に登録されたが、日本に来て姿を変えたメキシコ料理も存在する。それが「タコライス」だ。トルティージャに挟むはずのタコスの中身を日本の主食米の上に盛り付けたお馴染みの料理だが、これは昭和59年に沖縄に在住する米兵に向けて日本人が発案したものである。

意図せず日本に来てその種類を増やしたタコスだが、元々さまざまな種類がある。基本的にはトルティージャに具材を挟めばなんでもタコスになるという自由度の高い料理だが、挟むものによっては名前がある。
例えば最も一般的なカルネアサーダは牛肉のサイコロステーキと野菜を挟んだもので、カルニータスは焼いた細切りの豚肉と玉ねぎ、パクチーを挟んだものだ。
その他魚を挟んだものや野菜だけのもの、サボテン入りのものやベーコンやアスパラガスを乗せた朝タコスなどのバリエーションがある。
タコスに欠かせないサルサも多様な種類がある。ちなみに「サルサ」はソースという意味らしく、日本でよく聞く「サルサソース」は、「ソースソース」といっているのと同じらしい。

日本ではあまり馴染みのないメキシカンだが、アメリカでは大都会ニューヨークでも店が多くあり、チェーン店も存在するそうだ。しかし、本場メキシコの伝統的なトルティージャはとうもろこしに石灰を入れて水で煮込み、一晩冷ましおいたりと手間のかかる分格別だそうで、いつか食べに行ってみたいものである。

参考
タコス協会    タコスとは?
http://tacos.world/about_tacos/

メキシコ伝統料理を堪能しよう!食文化の旅②トウモロコシとタコス編
https://pasela.mexicokanko.co.jp/features/1313/

Hallo世界の国民食    メキシコ料理のあれこれTOPICS①
https://www.saibugas.co.jp/home/and/articles/detail.php?id=166