開催日:2024/09/16(月・祝) 13:00~/18:00~
場所:味坊鉄鍋荘@東京・湯島
今回は、Food HEROes U-30 COMMUNITYと都内 ガチ中華の名店「味坊」が初めてコラボして開催された「鉄鍋ブイヤベース」に行ってきました。会場は東京・湯島にある「味坊鉄鍋荘」です。
味坊鉄鍋荘では、各テーブルに大きな鉄鍋が埋め込まれており、普段は鉄鍋を使って中国の東北地方の煮込み料理を食べられます。
今回は、お店のシンボルともなっている鉄鍋を活かして、南フランスの郷土料理の一つ「ブイヤベース」を作るという新しい試みの会です。
シェフは、Food HEROes U-30 COMMUNITYの1期メンバーの@たくま さん。
個人的には、いつもInstagramで拝見しているたくまさんの料理を実際に食べられるなんて、という意味でもワクワクしながら行ってきました。
料理は3品のアミューズと前菜が2品、メインの鉄鍋ブイヤベース、デザートの構成です。
アミューズは、3品がちょこんと皿の上に並んで登場。それぞれ手で持ちながらパクっと食べます。
右から、甘エビ、パテ・ド・カンパーニュ、レバーパテ。
甘エビは、タルタルにしたもので、口に入れる前から甘エビの香りがしました。
口に入れると、エビのまったりした甘さと海産特有のえぐみがタルタルの風味でまとまるのが気持ちよく、白ワインとの相性もバッチリでした。
続いては、フランス語で”田舎風のパテ”の意味するパテ・ド・カンパーニュです。
今回は、たくまさんオリジナルで、パテを最中生地で包んだひと口サイズの料理です。
最中といえば和菓子のイメージが強い中、最中の食感とパテが新感覚で、食べていて楽しいひと品でした。
最後のレバーパテは、ビスケットにレバーパテ、アーモンドがあしらわれています。
食べると、アーモンドの食感と甘さ、レバーパテの味わい、ビスケットの食感のんかあに、酸味がきいたバルサミコのソースがアクセントになって、小さいながらもさまざまな味わいが共鳴する印象深い料理でした。
アミューズ3品をそれぞれ比べると、甘エビのしっとり食感から始まり、最中のパリパリ、レバーパテに使われたアーモンドとビスケットのザクザク食感と、徐々に硬く、食感が強くなっているのも印象的で、食べる人を楽しませる工夫だなと感じました。
続いて前菜。
1品目は鰹のカルパッチョ。
鰹は一本釣りの鰹を使用しているとのこと。
そこに合わせたは、バルサミコ酢と鰹節、焼き茄子、茗荷のピクルス、梅塩です。
梅塩の酸味と甘味、鰹節のうま味、焼き茄子の香りなどやさしい味わいが重なり、どこか日本の煮びたしのような印象があります。私がイメージしたカルパッチョより、ずっとあっさりしたものでした。
鰹は普段食べるものよりも身が締まっておらず、筋線維が柔らかく感じました。
鰹節や茗荷、梅塩が使われていることから、どこか和風な印象で、ますますカルパッチョの固定概念が壊されるような料理でした。
2品目のラム肉のペリメニ。
味坊集団の足立工場で1つ1つ手包みで作られている点心は、味坊の名物のひとつです。中でも餃子は人気の商品で、たくまさんが味坊の足立工場を見学した際、数ある餃子の中で美味しいと感じたというセロリのラム餃子をベースにたくまさんが味付けをしたコラボ料理です。
ちなみに、ペリメニはロシア版水餃子のこと。
ラム肉とセロリの餃子に合わせるのが、オリーブオイルとサワークリーム、柚子、ディル。
セロリが入っているこの餃子も、どこか洋風ぽさを感じるものですが、そこにサワークリーム、ディルが加わると、一気に洋風の料理に印象が変わるのが印象的でした。
さて、いよいよメインのブイヤベース。
会の始まりから蓋がしてあった鉄鍋が、テーブルから取り外されて厨房に運ばれるていきます。その後、鍋のなかにブイヤベースのスープが入って戻ってくるのですが、これが見事に私たちの心をワクワクさせる演出でした。
『え、鍋の中にスープだけ?』と思ったところに、しゃぶしゃぶを思い起こさせるように、具材の真鯛、イサキ、ムール貝、エビ、ホタテ、イカ、空心菜が盛られたお皿が運ばれてきます。さらにスープだけが入ったお椀も到着です。
お椀に入ったスープを先に飲みます。スープはカサゴで取った出汁をベースに作られているそうで、飲んでみると、濃厚なようで、野菜の香りや味で爽やかな印象でした。ここから具材が加わると思うと楽しみになる余力がある味でした。
スープだけを味わってから、鉄鍋に具材を自由に入れていきます。ムール貝、エビ、イカは、しっかり火を通す必要があるため、先に鉄鍋内のスープに入れて待ちます。
フランスでは、初めにスープだけが皿に注がれて、飲み終わってから魚介類とスープが再度注がれて食べていきますが、鉄鍋ブイヤベーススタイルにアレンジしてあります。
先に入れた海鮮にも火が通り、空心菜もスープに潜らせクタッとしてきたところを、他の海鮮と一緒にお椀に盛ります。
私の勝手なフレンチのイメージですが、盛り付けもカッチリしていて、ナイフとフォークで食べないといけないと思っていました。しかも、今回は箸で食べられる、というので個人的には新鮮でした。
自ら完成させていくブイヤベースは、自分も料理に参加している楽しさもあり、美味しさを倍増させてくれている印象でした。
そして今回、とても驚いたのが、ブイヤベースに空心菜が合う!
そもそも、味坊集団では茨城県に自社農場を持っており、無農薬野菜を栽培しています。そこで収穫された空心菜を今回使っており、空心菜自体の美味しさもありますが、
ブイヤベースのスープに使われている香味野菜の香りと、空心菜が持つ特有の香りがマッチして、新たな発見でした。
そこに、アイオリと呼ばれるニンニクマヨネーズ、味坊自家製の辛味調味料、カンカルチーズが味変用に用意されてました。
ニンニクマヨネーズを入れると、パンチやインパクトが強い味になり、辛味調味料を入れると、スパイシーになり、チーズが入ると濃厚さが出たり、
どれも病みつきになるような味で、かなりの量があるのですが食べ飽きさせない工夫がされていて、どんどん食べ進められました。
〆にはパスタが用意されており、残ったスープの中に入れて仕上げていきます。少しずつパスタのデンプン質が溶け出し、とろみがついてきた頃にお椀にすくって頂きます。スープが絡んだパスタは、味わい深く、スープも最後まで食べきれるのが嬉しかったです。
最後にデザートはシャインマスカットとヨーグルトの一皿。
これまで、温かいブイヤベースを食べてきた中で、口がひと段落付くような、さっぱりさと、果実味が表に出る味でした。
切ったシャインマスカットと黒系の巨峰、葡萄果汁とオリーブオイルを合わせたもので、添えられたミントとヨーグルトが、全体をさっぱりとまとめています。
たくまさんにとって、ブイヤベースは思い入れの深い料理だそうで、
フランス料理店で修業していた際、師匠から教えてもらったレシピで作っているとのこと。
師匠のレシピは、たくまさん曰く、とても工程が多く、めんどくさいそう。
でも、それが一番美味しかったから、師匠のレシピを今でも取り入れている、思い出ある料理とのこと。
料理の要所要所に、和食で使われる食材や調味料が使われているのも印象的で、私は、普段の食生活の中でフランス料理に触れる機会が少ないのですが、一気に親近感が湧き、受け入れやすい味わいに感じました。
今回、全体を通して、料理の味も勿論大事だけれども、それと同じくらい場の雰囲気も料理の印象に大きな影響を与えることを感じました。
味坊鉄鍋荘は、テーブル中央の鉄鍋や、壁の漢字で書かれた中華のメニューなど、異国感のある雰囲気で、それだけでも非日常感がありますが、
そこでフレンチのブイヤベースを、誰かと一緒に食べる、という、日本ではないような感覚にさせてくれるのが、美味しいのは勿論ですが、楽しい時間でした。
また、たくまさんがSNSで活躍しているのもあり、エンターテインメント性を持たせるのもとても上手で、おっ!と思わせるような食材選びや、コースの流れ、自分で最後の調理をするしゃぶしゃぶを彷彿とさせるスタイル、味変のレパートリーなど、お店の非日常感と相まって、楽しめる時間になりました。
Food HEROes U-30 COMMUNITYと味坊とのコラボレーション企画は始まったばかり。
別のメンバーが味坊鉄鍋荘でやるなら何ができるか?と、もうアイディア出しが始まっています。
いわゆる普通のレストランでは生れない、唯一無二のFood HEROes×味坊イベント、次回も楽しみです!
今回、活躍のFood HEROes U-30 COMMUNITYメンバーと味坊 林さん
(左から、スーシェフ @そうや さん、シェフ @たくま さん、味坊 林さん)
シェフ
為房 拓真(ためふさ たくま) @たくま
フリーのフランス料理人。調理師専門学校卒業後、フランスのミシュラン3つ星で研修をし帰国。飲食店の料理長などを経験し、現在は独立に向けた準備活動としてInstagram(@takuma_tamefusa )で活動中、フォロワー7.3万人(2024年8月23日現在)。
都内を中心にポップアップイベントや、出張料理、PRをしている。2024年 モトックス公式ワインアンバサダー。Food HEROes U-30 COMMUNITYの第1期メンバー。
たくまさんのInstagramはこちら