目黒区のFinger Lime Tokyo様の農場に行ってきました。
◯フィンガーライムとは？
ミカン科ミカン属の常緑多年草です。原産はオーストラリアの右上にあるクイーンズアイランド州で、原住民のアボリジニの間では古くからジャムの原料として広まっていました。歴史が古いだけあり、原種を細分化すると200種類以上もの品種がありますが、実際食用として栽培されているのは30種類前後となっています。
別名「森のキャビア」とも呼ばれ、現在は日本のみならずアメリカのカリフォルニア州やフロリダ州でも栽培が行われています。フランスでは料理店での需要が高まり、高級食材となっています。
フィンガーライム自体の収穫は木を植え付けてから約3年で結実します。寒い地域の栽培環境にも比較的強いようで、露地栽培では山形県、ハウス栽培では北海道にもフィンガーライムを育てている農家さんがあるそうです。
時期になると白くてかわいい花を咲かせ、その後細長いピクルスのような実をつけます。品種によって実の大きさ、形、皮の色は様々で、香りや果実自体の味もかなりの違いがあります。
◯Finger Lime Tokyo
東京都目黒区にあるFinger Lime Tokyoは園主の根岸さんと奥さんが経営されており、敷地内には元々の栽培品である葡萄畑があります。こちらの葡萄畑は観光農場として毎年葡萄狩りなどで賑わいを見せるそうです。
実はこちらの農園は渋谷から一番近い場所にあるそうで、駒沢大学駅から徒歩１０分ほどの閑静な住宅街にあります。東京都GAP（農業生産工程管理）を葡萄で取得しており、現在はフィンガーライムを目黒区の特産品にしたいという思いで日々研究を重ねられています。
（東京都GAPとは→東京都GAP｜農林水産｜東京都産業労働局 ）
そんな根岸さんご夫妻の育てるフィンガーライムは「ジュエリーライム」と名付けられ、その名の通り宝石のような瑞々しい見た目とハウス栽培や育て方の工夫による種の少なさが特徴で、高級ホテルでも使用されています。
宮崎県でフィンガーライムに出会った根岸さんは5年前から研究を始め、去年Finger Lime Tokyoとしてのブランドを開始しました。
現在販売が可能な品種は10種類ほどで、収穫は7月下旬〜9月下旬と10月〜11月の年に２回あります。これは品種によって実をつける季節が異なるからだそうで、夏は黄色、緑、ピンクなどのクリア系、冬は赤い果肉のものが収穫できます。
夏収穫の品種を数種類試食させていただきました。
・グリーンジャイアント
爽やかなレモンとライムの間のような味。酸味が強いが癖がなく食べやすい。
・リトルビューティー
試食した中で一番皮の柑橘香が強い。酸味は柔らかく食べやすい。
・コレット
山椒のような香気があり、料理向き。野生味と少し青臭さがある。
・レッドルビー
酸味が少ない。試食品種の中で一番種が多かったがとても食べやすい。
・グリーンクリスタル
癖がなく様々なシーンで使えそうな品種。爽やかでバランスの良い酸味。
（試食の感想は私の個人的な味覚によるものです。）
◯感想
昨年友達が働く寿司屋で出会った未知のフルーツ、フィンガーライムに再び出会うことができました。思った以上に多くの品種があり、それぞれの品種にここまで香りや味の違いが出ることに驚きました。（桃や梨の品種違いような感じではなく、かなりはっきり違います。びっくり。）甘さがないので料理人は好きな香り、酸味、風味で料理に合わせることができ、とてもポテンシャルの高い果物だと思いました。今回の試食ではフィンガーライム単体をそのまま頂きましたが私は果実がピンク色の品種（リトルビューティーとレットルビー）が好みで美味しかったです。根岸さんご夫婦はアイスや炭酸水に入れて食べているそうで、自分で収穫したフィンガーライム（お土産）で試してみようと思います。もしかしたら印象が変わる品種があるかもしれません。
これを書くにあたってフィンガーライムについて調べましたが、人工授粉が必要ないのに別品種を隣りに置いておいても交雑しなかったり、オーストラリアや沖縄などの暖かい地域では常緑多年草なのに本州では冬眠のため葉を落とす順応ができるなど、不思議な特徴を知ることができました。まだまだ見たことのない植物の木はたくさんありますが、これを機に調べてみたいと思いました。
1つ1つの果実が小さく、キロ単位で販売するのが難しいフィンガーライムですが、多くの人に知ってもらうため、私の職場のような大量調理厨房でも扱える日が来ることを願っています。
参考
フィンガーライムの種 - マルシェ青空
フィンガーライム - 伊藤農園のみかんな図鑑
東京都GAP｜農林水産｜東京都産業労働局
2024/07/30 15:05