今回は3箇所の農家さんを訪問させていただきました。
佐伯農園
発芽直後のメロンの苗
佐伯農園さんは種から一つ一つ丁寧にメロンを育てている農園さん。メロンの種は植えてから7日で発芽、10〜12日でセルトレイから畑に植え替えるそうです。小さな苗は温度管理にとても気を遣っており、地面には電熱線を通し30〜34度で育苗を行い、水の量を調節して茎の長さを制限するそうです。
・アールスメロン
整ったハウス内は感嘆の一言でした。1株から1球しか収穫はせず、同じところから実ったメロンをフックで支え、傘をして日焼けを防止します。ツルをフックで吊るすため、綺麗な丸型になり、底ズレや歪みも少ないのだそう。他の農家さんでは1株から2玉育ててみようと実験をしているところもあるそうで、今後の育て方が楽しみです。
メロンの収穫は品種を問わずメロンが締まって糖度が高いと考えられている朝方に収穫し、水は塩素のない井戸水を使用しているそう。
肥料は3種類を使用しているが、牛糞と鶏糞を含む『まぜた君』と納豆菌を含む『畑ちがい植育元素』を使用してからアミノ酸肥料の使用を大幅に減らしても良いメロンができるようになったそうです。上記2つの肥料は値段も安く、少量で土質改善ができるといいます。
山一ファーム
メロンの花と摘果メロンをみんなで試食させていただきました
茨城で現在推されている『イバラキング』と赤肉メロンの『クインシー』を試食させていただきました。山一ファームさんのビニールハウスは30棟と多く、1棟800〜900個のメロンが収穫できるそうです。
メロンの収穫の目安は、メロンの果実上の葉を見ること。葉がしっかり枯れると完熟の合図です。これはどの品種もいえることだそうです。また、メロンは湿度が高すぎる環境だと皮が割れてしまうのでビニールハウス内の環境整備は特に大切だそうです。
また、山一ファームさんの作るメロンは特に大きく、重さによって等級も決められています。1.3〜1.4kgは3L、1.5kgは4Lとなっており、ずっしりとした立派なメロンは贈答用としてもよく買いにくる方がいるそうです。
ファーム長洲 飲食人から近年多くの注文がある『優香』という品種を育てているファーム長洲さんは優香以外にも実にさまざまなメロンの品種を育てています。栽培期間も収穫期間も長く、オフ期間に土を作る時間も長いそうで、1年中休みがない印象でした。しかも満足のいくメロンができるまで毎年試行錯誤しているそう。
・優香
右側のメロンがほのかに黄色く色づいている
飲食店での注文が多い優香はスーパーなどでは見たことのない皮が黄色いメロンです。1株4玉しか実を付けないように花と小さな実を取り払い栄養を集中させ、皮が緑から黄色になったら収穫時期になります。収穫のタイミングは他のメロンよりも15〜20日早く、種植えから約100日で収穫となるそうです。優香はロス率が非常に高く、生った実の半分が売り物にならないそうです。しかも収穫は1つ1つ果実の状態を見ながらの手拾いだそうで、熟したものから1〜2週間かけてゆっくりと収穫されます。優香は名前の通り優しく爽やかな香りと味が魅力の品種です。
ファーム長洲さんではおとめメロンという品種も栽培されており、こちらは1玉の販売用と加工用専用のビニールハウスがありました。加工用のメロンは品質の安定のために肥料を比較的多く使用し、1玉用のメロンが2列で管理されているのに対し倍の4列で栽培を行っていました。これらのメロンはすでに契約している企業に買い取られ、アイスやジュース、お菓子などに加工されるそうです。
駅に戻ってのお疲れ様会にて。メロンの成長過程順に並べてみました
今回も3箇所の農家さんに見学をさせていただきました。
メロンといえば夕張メロンやアールスメロンばかり聞くので、こんなにも多彩な品種があること、育て方にも多くの種類が存在することにとても驚きました。ただ育てるだけではなく、農家さん一人一人が自分の持つ畑の土壌やビニールハウスを細かく把握しており、毎年試行錯誤をして今のメロンの品質があるのだなと3箇所ともに毎回感じることができました。
パティシエは特にメロンを使ったデザートをこれから考える時期になります。今回の訪問でも、このメロンはこれと合わせたいな、や、こういうふうに加工したいな、と考えを巡らせながら見学することができ、とても楽しかったです。