2023年11月から2025年3月まで、Food HEROes U-30 COMMUNITYで実施した生産地訪問をまとめました。公式イベント以外にも、メンバー発案の訪問企画も一緒に紹介しています。
「コミュニティの生産地訪問ってどこに行っているの?」「どんな雰囲気なの?」という人にも読んでもらいたい記事です。
公式イベントとは?
Food HEROes U-30 COMMUNITYが主催する生産地訪問です。主宰の江六前が考案したテーマのもと、日帰りで2~3軒の生産者さんを回ります。月1度のペースで開催しました。
キノコ|2023年11月|公式
訪問先
なかのきのこ園(原木シイタケ、茨城県つくば市)
田村きのこ園(菌床ジャンボシイタケ「福王しいたけ」、茨城県笠間市)
七会きのこセンター(菌床栽培、ハナビラタケ、アワビタケほか、茨城県城里町)
原木椎茸と菌床椎茸、さらに瓶の菌床キノコ栽培と三者三様の生産者さんを見学し、それぞれスタンス(売り先、規模、ビジョン)による育て方の違いがわかったのは、1つのテーマに絞ってめぐってきた成果といえます。ディープキノコの世界を体験してきました。
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アメリカナマズ|2023年12月|公式
訪問先
外山厚志さん(天然アメリカナマズ、茨城県かすみがうら市)
山野水産(養殖アメリカナマズ、茨城県かすみがうら市)
アメリカナマズは、日本では生態系のバランスを崩すとして外来生物法で特定外来生物に指定されています。食用養殖魚として1971年に日本に入ってきたものが逃げ出し霞ケ浦に棲みつき、2000年代にその数が急激に増えてきており、問題視されています。
駆除対象になっているこのアメリカナマズを食材としておいしく食べてもらいたいと苦労する生産者さんを訪ね、キッチンを借りて初めて調理。未知の食材と悪戦苦闘しました。
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サツマイモ|2024年1月|公式
訪問先
山一ファーム(茨城県鉾田市)
https://yamaichifarm.com/
KOTARO-BRAND(茨城県鉾田市)
https://www.kotaro.ibaraki.jp/
さつまいも博士 渋谷俊雄さん(茨城県行方市)
2つの産地をまわったことで、土地にあう品種についても知れたほか、15種類くらいを食べ比べられたことで、一口に「サツマイモ」といっても違いがかなりあることがわかりました。その違いをもとに料理をつくったり、好みの味のサツマイモを探してみる面白さを知りました。
公式|2024年2月|テーマ「イチゴ」
訪問先
風早いちご園 風早総一郎さん(茨城県鉾田市)
村田農園 村田和寿さん(茨城県鉾田市)
村田さんと風早さんは、師匠と弟子の関係ですので、大きくは変わりません。しかし感性を大事に酸味と香りを意識した仕上がりを目指す風早さんと、栽培規模が風早さんの3倍ほどあるなかで、安定して甘味と酸味のバランスがよいイチゴを届けようとする村田さんとのなかで、微妙に異なる点を垣間見ることができる1日になりました。
養豚|2024年3月|公式
訪問先
山西牧場 倉持信宏さん(茨城県坂東市)
https://yamanishifarm.com/
かくま牧場 鹿熊修さん(茨城県稲敷市)
鹿熊さんからは三元豚の掛け合わせや飼育方法、生産管理について、倉持さんにはお肉に流通と小売りの関係をお聞きすることになりました。また、実際に豚肉を食べさせていただけたことで、同じ三元豚でも考え方の違いで印象がだいぶかわることもわかりました。
個性の出にくい三元豚ではありますが、見方を変えれば安定して生産できるように開発されたものだということ。だからこそ生産性を重視した飼育を目指すのであり、そのなかでおいしさをきわめていこうとする気概がお二人に共通しているように感じました。
訪ねました
東京米|2024年3月|メンバー発案
訪問先
西野農園 西野耕太さん(東京都国立市谷保)
Food HEROes U-30 COMMUNITYのメンバーでが所属する「東京おこめサロン」の池田さん初の企画で東京・国立の西野農園さんを訪ねました。
西野農園さんは、400年続く専業農家で、野菜のほか、都内でも珍しい米栽培を行っています。東京ではお米の流通はほとんどなく、幻のお米といえます。品種はキヌヒカリで、コシヒカリなどに比べて穂の高さが低く、風邪などで倒れにくいこともあって、東京での栽培にあっているといいます。
ワイナリー&アスパラガス|2024年4月|公式
訪問先
つくばワイナリー(ワイナリー、茨城県つくば市)
ル ボワ ダジュール 青木 誠さん(ワイナリー、茨城県つくば市)
つくば谷口農園 谷口能彦さん(アスパラガスほか、茨城県つくば市)
筑波山の麓、風光明媚な地に畑と醸造所をもつ「つくばワイナリー」さんでは、富士の夢や北天の雫といった日本の品種のほか、近年はマルスラン、タナ、プチ・マルサンといったフランスの品種も植えるようになり、より個性的なワインづくりを目指されています。
「ル ボワ ダジュール」さんでは、醸造を担当する青木誠さんのご実家が、生食の巨峰農家さんだったこともあり巨峰のワイン(赤)を造られています(白は、アメリカの生食用品種ヒムロット)。生食用のブドウがもつ華やかさはもちろんありながらも、複雑な香り。それでいながら生食用のブドウの華やかさもある。異次元のワインを味合わせていただきました。
つくば谷口農園さんでは、アスパラガスを栽培しています。アスパラガスの栽培現場を見るのが初めてというメンバーがほとんど。地下茎から春と秋に生え、10年は毎年出てくるという生態など、谷口さんの説明に、何度も驚かされました。
フィノキエット収穫祭|2024年5月|公式
訪問先
エコファーム・アサノ(オーガニックファーム、千葉県八街市)
関東圏のイタリアンシェフの方々も参加されて毎年5月に千葉・八街のエコファーム・アサノさんで開催している「フィノキエット収穫祭」に参加しました。日本のオーガニックファームの巨人といわれる浅野悦男さんの畑で収穫したフィノキエットの柔らかい穂先を手で1本1本外していき、茹でたものを煮汁とともに梱包して冷凍保存。1年分をこの日に仕込みます。FHメンバーも収穫から新芽とり、湯がき、袋詰めという一連の作業を手伝わせていただきました。
メロン|2024年5月|公式
訪問先
佐伯農園(茨城県鉾田市)
山一ファーム(茨城県鉾田市)
ファーム長洲(茨城県鉾田市)
クインシー、アールス、茨城のブランドメロンイバラキング、珍しい「優香」という品種などを見学しました。とくにファーム長洲さんが育てる「優香」は、ハウスに入ったとたん香りがブワッと押し寄せてくるほどの芳醇な香りがすごかったです。「まだ甘味がのっていない」というものでしたが、長洲さんに切り分けてもらった優香は、香りと食感が特徴的に感じました。
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長野県木曾エリア|2024年6月|メンバー考案
訪問先
奥谷渚さん(白菜農家、長野県木祖村)
ジビエ工房木曽 百田健二郎さん(ジビエ、長野県上松町)
中善酒造店 杜氏・山口孝さん(酒蔵、長野県木曽町)
小池糀店(長野県木曽町)
西野うるし工房 西野孝章さん(長野県塩尻市)
小坂進うるし工房 小坂進さん(長野県塩尻市)
未空うるし工芸 岩原裕右さん(長野県塩尻市)
伊藤寛司商店 伊藤寛茂さん(長野県塩尻市)
丸嘉小坂漆器店 小坂玲央さん(長野県塩尻市)
長野県木曽広域連合の地域PR事業の取り組みの一環として、メンバーの町田さくらさんの企画で一泊二日で木曽地域の生産者さんにお会いしてきました。
1日目の夜は、木曽町の木曽町文化交流センター調理室をお借りしての懇親会でした。1日目に訪問させていただいた奥谷さんの白菜、百田さんのクマ(夏・冬)と工房のまわりの天然食材、中善酒造店さんのお酒のほか、道の駅などで購入した食材を使って、Food HEROesメンバーが即興で料理を作っておもてなししました。
北海道美瑛町|2024年6月|メンバー考案
訪問先
藤田晴仁さん(トマト農家、北海道美瑛町)
リアンファーム 石田佳奈子さん(オーガニックハーブ園、北海道旭川市)
ファームズ千代田(畜産農家・牛、北海道美瑛町)
美瑛町農業協同組合(アスパラガス「ラスノーブル」、北海道美瑛町)
2024年4月に美瑛町の地域おこし協力隊の隊員に着任した鄭大羽さん @sim_modernkorean に会いに、三泊四日で行ってきました。美瑛町では、テウ(大羽)さんが普段から援農に通ったり、惚れ込んで使っている食材の生産者さんのもとを訪ね歩いてきました。
2日間、美瑛町とその近隣の自治体の生産者さんの元を回り、そこで購入したり分けていただいた食材を使って即興のポップアップイベントを、美瑛町にある「チカラノ食堂」で開催しました。
さしま茶|2024年6月|公式
訪問先
吉田茶園 吉田浩樹さん(茨城県古河市)
飯田園 飯田耕平さん(茨城県古河市)
木村製茶工場 木村昇さん(茨城県古河市)
さしま茶は、茨城県と埼玉県の県境付近、古河市と坂東市、常総市、八千代町、境町に広がる猿島エリアで栽培されているお茶で、伝統的な日本茶だけでなく、国産紅茶「和紅茶」や国産烏龍茶「和烏龍茶」の製造などしています。
3つの生産者さんを訪ねて、品種の違いや製造の違いを感じてきました。
チーズ|2024年7月|公式
訪問先
FROMAGERIEつくば 川田訓さん(茨城県笠間市)
石岡鈴木牧場 鈴木美登里さん(茨城県石岡市)
新利根チーズ工房 西山厚志さん(茨城県稲敷市)
3つのチーズ工房を回ってわかったのは、チーズの製造はもちろん、原料となる牛乳の入手方法も大切だということでした。「FROMAGERIEつくば」さんは地域の酪農家さんから、
「石岡鈴木牧場」さんは実社の牧場の循環型酪農による牛乳を、「新利根チーズ工房」さんは、隣接する放牧酪農場「新利根協同農学塾農場」から牛乳を得てチーズを製造していました。
地域の資源を活用したチーズなどもあり、国産チーズのおもしろさも感じとれた訪問になりました。
フィンガーライム|2024年8月|メンバー企画
訪問先
根岸ぶどう園(東京都目黒区)
高級店ではたびたび見かけるフィンガーライム、実は東京・目黒区の住宅街の中でも栽培されています。「根岸ぶどう園」さんでは、今年から収穫が始まった貴重なフィンガーライムのうち早生品数の5品を試食させていただいたのち、圃場の見学をさせていただきました。
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東京都の農業|2024年9月|公式
訪問先
たかはし農園さん(東京都東久留米市)
もぐもぐファーム(東京都八王子市)
中西ファーム(東京都八王子市)
これまでの産地訪問では、都市部に供給する農村部の農家さんを多く見てきました。今回は、人口の多い都市部での農業ということで、顧客や流通の違いからおのずと育てている作物もことなり、これまでにない視点を得ることができました。
とくに人口の少ない農村部とは違い、都市部ではその地域を商圏にしていくということもあって、地域と連携してコミュニティ的に野菜を販売いることを知り、都市農業の姿の一面を感じることができました。とてもいい経験になりました。
江戸前ハーブ|2024年11月|公式
訪問先
江戸前ハーブ(東京都大田区)
東京・大田区でマイクロハーブを栽培している「江戸前ハーブ」を訪ねてきました。江戸前ハーブには、FHメンバーでもある中岡佑介さんが勤めている縁もあります。代表の村田好平さんに施設を案内してもらいました。
江戸前ハーブは、「光と草のイリュージョン」をコンセプトに東京都大田区の地下駐車場をリノベーションして、LEDライトを駆使して室内栽培でマイクロハーブを生産しています。
見学では、村田さんが水の量などを調整して、たくさんつくることよりもおいしい味にすることをもっとも大事にしているという話を聞き、これまで感じていた江戸前ハーブの個性がやはり作る人の意思によってできていることがわかりました。
さかなドリーム|2024年11月|公式
訪問先
さかなドリーム(千葉県館山市)
千葉・館山でF1新品種の魚の養殖を開発しているスタートアップ「さかなドリーム」の施設を見学してきました。
例えば、以前産地訪問でまわった豚肉なら味や生産性を高めるために三世代交配させた三元豚とかあるのに、魚は単一で掛け合わせをしていません。そこに「さかなドリーム」は目を付けて、魚のF1種を開発しようとしています。
すでにカイワリとマアジをかけあわせた「カイジ」という新しい魚を生みだし、実際に館山の沿岸のいけすで養殖が始まっています。生け簀の見学のあとは、実際にカイジをさばいて試食もさせてもらいました。
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笠間焼の工房|2024年12月|公式
訪問先
久野陶園(茨城県笠間市)
船串篤司さん (茨城県笠間市)
keicondoさん(茨城県笠間市)
茨城の陶芸の里・笠間に行ってきました。案内してくれたのは、作家のkeicondoさんです。笠間焼の歴史を感じさせる「久野陶園」さんの工房から個人作家の舩串さんとkeiさんのアトリエという異なる工房を見学することができました。
3つの工房をみて、作家さんそれぞれの個性があるのがわかったようにアトリエもまた世界観があります。また3つの窯を比べてみたことで、窯の大きさや持っている窯の種類(ガスや電気、登り窯)はもちろん、その使い方を含めて、作品それぞれに影響を与えているのも感じました。
イチゴ|2025年2月|公式
訪問先
風早いちご園 風早総一郎さん(茨城県鉾田市)
hiko farm 彦田真吾さん(茨城県常陸大宮市)
茨城県鉾田市のイチゴ名人・村田和寿さんに学んだ風早さんと彦田さんのお二人を訪ねるイチゴツアーでした。基本的には師匠と同じ「とちおとめ」を育て、その栽培方法も踏襲しているのですが、その先に自身の信じる味のイチゴのために工夫をしていました。さらに卸先や規模なども、目指す卸先や経営観によって変わってくることがわかりました。
酒蔵|2025年3月|公式
訪問先
月の井酒造店(茨城県大洗町)
明利酒類(茨城県水戸市)
「月の井酒造店」さんでは、坂本蔵元、石川杜氏、お忙しい中見学を受け入れていただきました。石川杜氏の方法ではなく、なぜその方法を先人がやり続けてきたのかの意味を考えることが大事だという話は、なんでも簡略化効率化の時代で、もう一度自分の仕事観を見つめなおすことができるような素晴らしいお話でした。
「明利酒類」さん加藤喬大さんに広大な蔵の敷地を案内していただきました。県内外で引き合いがある「10号酵母」と「M 310酵母」の製造について貴重な話をきけました。さらにいま力をいれておられるウイスキー事業についても、さまざま取り組みをされていて、今後生まれてくるプロダクトがどんなものになるのか、聞いていてワクワクさせられるものでした。
酒類の販売のなかでも、規模や取り扱い酒類が大きく違うほか、杜氏(職人)と経営といった立場が違う方の話しから異なる話が聞けて勉強になりました。
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【新メンバー募集スタート】2025年春メンバーの募集が始まりました!
募集期間 3/19(水)~3/31(月)
入会開始 3/25(火)
ウェルカムイベント 4/6(日) 11:00〜、4/7(月) 22:00〜
会費
スタンダードプラン 3,300円/月(税込)
U-24 割プラン 1,650円/月(税込)※2001年度以降生まれの方限定
誰でも応援プラン 1,100円/月(税込)※年齢制限なし、江六前のコラムと外部公開記事のみ閲覧可能
事前登録は下記の特設ページから
https://community.foodheroes.jp/about
※URLはプロフィールかハイライトから
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2025年最初のメンバー募集です。この春、1993年と1994年生まれのメンバーが卒業したことを機に新メンバーを募集します。4月からの新年度のスタートをFood HEROes U-30 COMMUNITYで始めませんか?
今回から若い年齢でも参加しやすいように「U-24割プラン」と年齢制限なしの若手応援プラン「誰でも応援プラン」を用意しました。ぜひ新生Food HEROes U-30 COMMUNITYを盛り上げていきましょう!
こんな思いを秘めた人たちが集まります
・同世代の飲食人や食を仕事にしている人とつながりたい
・現在の職場とは違った視野での学びがほしい
・ポップアップイベントを企画して運営したい
・将来、一緒にレストランを開業したり、食の事業を起こしたい
・異業種や違った価値観の人の話しを聞きたい
・自分の料理を誰かに食べてもらいたい